38日目初日2日前。
GP(Generalprobe=完全に本番どおりの条件でのリハーサル。途中で止めたりせず、本番どおりやる)の翌日が初日なら集中力や緊張感も続くのでよかったが、残念ながらGPから2日あいてしまう。
要するに2日間フリーとなる。
殆どのお仲間はここから1時間ほどで家に帰れるので、昨日のGP後、夜中に家に帰っていった。
私以外の家が遠い居残り組は、昨晩のGPの後、車でノルトハウゼンに行き、劇場のパーティーに参加して夜中じゅう踊っていたそうな。
またこの日の夜は、サッカーがドイツ対ガーナ戦だったので、もちろんドイツ人が集まる酒場(?)で観戦したそうな。
本当にタフだぁ。
私は一度スーパーに買い物には出かけたが、結局部屋でずっと過ごした・・・・
(コアリズムはやったけど)
39日目初日前日。フリー。
ヒマだぁ。
朝食後、個人練習のため、音楽学校に行くと鍵が閉まっていては入れなかった・・・・・
なので少し散歩して買い物をして部屋に戻った。
ホテルの駐車場でタミーノ役のMとパパゲーナ役のVに会う。
なんと湖に泳ぎに行くらしい・・・・
ほんまにタフだぁ。
っていうか、風邪ひいたらどうするんだろうか???
まぁでもV曰く、いつもスポーツをして鍛えているので今まで風邪をひいたことなどないのだそうだ。
ホテルの部屋にはもちろんピアノやキーボードなどは無いが、とりあえず練習した。
夜は一人寂しく日本対デンマーク戦を観戦。
祝・日本勝利!
Vたちは、湖で泳いだ後、再びノルトハウゼンに行き、劇場のコンサートを聴きに行ったようだ。
40日目ついに初日!!!
しっかり寝て、遅めの朝食。
公演初日には、出演者やスタッフ、演出家などオペラに関わった仲間の間でプレゼントをするPremiere-Geschenkという行事(?)があり、楽屋の各出演者の席などにプレゼントを置いておいたり、直接渡したりするのだが、このプレゼント準備でかなり時間がかかり、おまけに用意していたプレゼントの数だと足りないことが判明。いそいで補充のために買い物へ。
プレゼントを作成しながら、炊き込みご飯を炊き、炊き上がったらおにぎりにして、プレゼントとおにぎりを持ってお城へ。
早めに行ってプレゼント配り(置き)をしようといつもより1時間も早めに楽屋入りしたが、すでにプレゼントでいっぱい!
一通り配り終えて、声だしをし、メイクの時間になったのでメイクさんのところへ。
衣装さんに衣装を着せてもらって、開演30分前。
今度はこれまた初日ならではの行事で、出演者がお互いの成功を祈って、Toi Toi Toiと言い合う。
20時、初日開演!
あがらないおまじないをして、夜の女王登場のアリア。

やはり緊張したが、適度な緊張感でいつもどおり冷静に歌えた。
長い休憩中に腹ごしらえに持参したおにぎりとりんごを食べる。
すると、3人の侍女たち+娘・パミーナもおにぎりが食べたいというので、おすそ分け。
衣装を着け、舞台メイクばっちりのドイツ人歌手たちがおにぎりを食べる様子はかなり面白かった(爆)。
そして休憩が終わり、いよいよドイツ語の台詞&夜の女王のアリア『復讐の炎は・・・』のシーン。

これまたかなり緊張したが、いつも通り台詞をしゃべり、アリアを歌うことができた。
やはり稽古の賜物だわ。
ものすごい集中力で歌ったことと、やっと夜の女王デビューできたこと感慨深く、その後楽屋でちょっと放心状態だったが、再び残りのおにぎりを食べ、最後のシーンに挑んだ。
最後はモノスタトスと3人の侍女と夜の女王のアンサンブルで、今回の演出では、なんと夜の女王はザラストロにナイフで刺されて死んでしまうという演出。
なので私、毎回最後は刺されてバタンと倒れるので、足にサポーターをつけて怪我しないように死んでいかねばならず・・・・・・
悪役は最後は死んじゃうのねぇ~。
ザラストロ役のA(身長195cm)は、いつも半笑いで刺してくるので、結構怖い(爆)!
死んだまま、舞台の上で最後の大合唱となり幕。
そしてカーテンコール!
割れんばかりの拍手喝采で、これまでの大変だったことや辛かったことなど一気に吹っ飛んだ。
こうして無事初日を終えた。
公演後、初日のお祝いパーティー。
翌日も公演があるので、ぐっとお酒は我慢してお仲間達とジュースで乾杯した。
夜中2時くらいまでお祝いパーティーは続き、くたくたになりながらお仲間達とホテルへ帰った。
しかし、元気なお仲間達は、ホテルに帰っても呑み続けていた・・・・・。
わたしゃ寝ますよと部屋に帰ったが、アドレナリンが出ているのかぜんぜん眠れず・・・・
結局4時ごろやっと眠れた。
つづく・・・・